テクニカル分析入門
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テクニカル分析を分かりやすく説明します。

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テクニカル分析入門
テーマ:第3回 酒田五法

ローソク足一本を見るだけでは、その時点における相場の強弱しかわかりません。ローソク足を二本組み合わせることで、過去と現在の相場を比較できるようになり、初めて相場の流れを知ることが可能になります。三本以上組み合わせることによって、過去・現在・未来が三位一体となり、相場の方向性なり転換点がより強く表現されてくるのです。
数秘学ではありませんが、この「3」という数字は洋の東西を問わず、非常に重要な数字として扱われています。「1」は孤独、「2」は対立、「3」は調和を示すと言われており、「3」をもって完全とみなすことが多いようです。
 話を元に戻しますと、「3」という数字の重要性を理解し、ローソク足の分析方法を相場戦術的にまとめ上げたのが、酒田罫線の奥義と言われる「酒田五法」です。酒田五法は、「三山」、「三川」、「三空」、「三兵」、「三法」から成り立っています。

三山(さんざん)

酒田五法の解説書には、「三山とは大天井の体型を表す線、底値より波乱を繰り返しながら上伸して下押す。この運動を三度繰り返して大天井となるものなり」と記されています。これが、算段上げでの天井形成を言ったものなのか、または三つの山による天井型を指しているのか解釈はまちまちですが、一般的には後者を意味していると考えられています。
最もおなじみなのが、「三尊天井」でしょう。三尊とは、仏像の配置からきており、中央に釈迦、両脇に文殊、普賢の両菩薩の形になぞらえたものです。海外ではこの形をヘッド・アンド・ショルダーズと称され、天井形成の典型的なパターンとされています。真ん中の山が最も高いのが理想的ですが、必ずしもそうならないケースも多く、三山形成時の出来高が順に少なくなる時には天井形成の可能性が高いようです。


【図3−1】 三山
三山(三尊) 逆三山(逆三尊)

三川(さんせん)

巷に出回っている解説書には、「三川は三山の反対にして、底値にて突っ込みては戻すという運動を繰り返す」と記述しているものもありますが、これは大きな間違いです。三川とは三本の線から相場の転換期を捉える「三線」の意味であり、山に対して川、線に対して川、と掛詞を用いているに過ぎません。
三川の代表的なものに、売り線とされる「宵の明星」、買い線とされる「明けの明星」があります。


【図3−2】 三川
三川明けの明星
明けの明星では、三本目の大陽線が、一本目の大陰線の実体の中心値を超えている時に有効です。
三川宵の明星
宵の明星では、三本目の大陰線が、一本目の大陽線の実体の中心値を割り込んでいる時に有効です。

三空(さんくう)

当日の始値が、前日高値を上回る水準で寄付く、あるいは前日安値を下回る水準で寄付き、前日高値水準まで値を落とすことなく、当日安値と前日高値の間に空間が残る、あるいは、前日安値水準まで値を戻すことなく、当日高値と前日安値の間に空間が残った場合、このチャート上の空間のことを「空(くう)」あるいは「窓」、海外では「ギャップ」と呼ばれており、重要な意味があるとされています。
酒田五法において、上げ相場の場合には「三空踏み上げに売り向かえ」と言われます。一空目は新規の強力買い勢力の出現、二空目は売り方の撤退と買い方の買い乗せ、そして、三空目は売り方の踏み(損を承知で買い戻すこと)と遅ればせながらの買い方の成行買いとなれば、ここで大天井を打つという見方です。残るは買い方だけで、買い方同士のつぶし合いの場となるため、逆に売り向かった方が良いという相場戦術です。
この逆が、「三空叩き込みに買い向かえ」です。買い方の投げ(損を承知で転売すること)、売り方の追撃売り崩しによって下値を叩き込まれたところが大底を入れるという見方です。
これは、四本の線で三空を形成するという意味ではなく、むしろ途中で揉み合いがあり、何十本かの線で三空を形成する方が自然です


【図3−3】 三空
三空踏み上げ 三空叩き込み

海外では、ギャップに対して、4つの名前をつけています。


【図3−4】 ギャップの種類

一つ目が「common gap(コモン・ギャップ)」。commonとは普通という意味で、特に意味のないギャップのことです。海外市場がマザーマーケットである国内商品先物の銘柄や、流動性の低い新興市場の銘柄などにおいてよく出現します。

二つ目が「breakaway gap(ブレイクアウェイ・ギャップ)」。breakawayとは分離、群れから離れるという意味で、相場が揉み合っていたレンジ(ボックス)から出来高を伴って上下いずれかに放れることを言います。これは非常に重要なギャップで新たなトレンドの始まりとなることが多いとされています。

三つ目が「runaway gap(ランナウェイ・ギャップ)」。runawayとは逃走という意味で、ギャップを出した後、そのまま突っ走ってしまうギャップのことです。強力な上昇トレンドや下落トレンドの中間地点で出現(トレンドの始点からこのギャップの距離を測り、その距離の2倍した水準でトレンドが終焉)することが多いため、メジャーリング・ギャップとも呼ばれます。

最後が「exhaustion gap(エグゾースション・ギャップ)」。exhaustionとは消耗とか枯渇という意味で、トレンドの最終局面に出るギャップのことを言います。
ブレイクアウェイ・ギャップ、ランナウェイ・ギャップ、エグゾースション・ギャップの3つのギャップでトレンドが最終局面を迎えるという意味では、酒田五法の「三空」と考え方は同じと言えます。

イグゾースション・ギャップの後に、数日間高値圏で揉み合いを続け、反対方向にブレイクアウェイ・ギャップが出るチャート・パターンのことを「アイランド・リバーサル(離れ孤島)」と呼びます。トレンド反転の可能性を暗示する重要なシグナルとなることが多いとされています。


【図3−5】 アイランド・リバーサル(離れ孤島)

酒田五法の「三空」に話を戻しますと、「三空踏み上げに売り向かえ」や「三空叩き込みに買い向かえ」といった逆張り的な言葉が独り歩きしているように感じます。しかし、「三空」を確認しても安易に判断しない方が賢明です。前述しましたようにコモン・ギャップのような意味のない空(窓・ギャップ)を頻繁に開ける銘柄があるため、空(窓・ギャップ)の持つ意味を相場状況によって適切に判別できる方でなければ、三空はお勧めできる相場戦術とは言えません。
空(窓・ギャップ)に対して、よく耳にする誤解として、「窓は必ず埋められる」というものがあります。空(窓・ギャップ)には埋められるものと、埋められないものがあります。前者は3日以内(週足では3週間以内)に埋められることが多く、埋められない場合は少なくとも2〜3週間は空(窓・ギャップ)を開けたままとなります。「窓開かれた方向につけ」とか「窓三日に埋めざればその勢い強し」という空(窓・ギャップ)に対して順張りを勧める相場格言もあります。


三兵(さんぺい)

三兵とは、陽線なら陽線、陰線なら陰線が三本平行して同一方向に向かっている場合を指し、三平が三兵に変わったものと言われています。
最も典型的なのは陽線の場合の「赤三兵」。これは高寄りしないものの、終値が着実に切り上がっている形で、特に底値圏でのジリ高は、大きな上げ相場への前兆と考えられています。ただし、同じ赤三兵でも、上影線を出しているものは「先詰まり」で上伸力が鈍っていると見ます。特に、三本目が小陽線の極線(コマ)となると「思案星」といって、転換の時期が近いと判断されます。
陰線三本が平行しているのを「三羽烏」と言います。不吉なカラスにたとえているように、下落相場の典型とされています。安値引けが三日続いたものを「坊主三羽」、終値と翌日始値が同じで続いているのは「同時三羽」と呼ばれ、特に弱い形とされています。
ただ近年では、三兵出現でその流れが終焉するパターンが多く見られ、短期売買的には、二本目でエントリーして三本目で利食いするという心構えで対処すべきでしょう。


【図3−6】 三兵
赤三兵
先詰まり
思案星
三羽鳥
坊主三羽
同時三羽

 

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第1回 テクニカル分析の意義
第2回 ローソク足の見方と判断法
第3回 酒田五法
第4回 トレンドの定義
第5回 サポートとレジスタンス
第6回 トレンドライン
第7回 チャネルラインと目標価格
第8回 天底転換パターン
第9回 天底転換パターン
第10回 中段保ち合いパターン
第11回 中段保ち合いパターン
第12回 移動平均線
第13回 移動平均線
第14回 ボリンジャーバンド
第15回 フィボナッチ
第16回 平均足
第17回 RSI(相対力指数)
第18回 テクニカル指標の変数

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