テクニカル分析入門
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テクニカル分析を分かりやすく説明します。

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テクニカル分析入門
テーマ:第6回 トレンドライン

相場がどういう方向性で推移しているのか、トレンドの発見こそ相場観測の第一歩です。価格変動の重要な山(高値)と谷(安値)の動きから相場の動く方向を捉える方法と、サポート、レジスタンスという考え方を紹介しましたので、今回は、トレンドを視覚的に捉える最も便利なツールであるトレンドラインという手法を解説しましょう。

トレンドラインは数ある分析手法の中で最も単純な部類に入りますが、実践で使いこなすのは最も難しい手法の一つでもあります。結論から言いますと、殆どすべてのテクニシャンは主観的な相場観でしかトレンドラインを引きません。トレンドラインを引く定義があまりにも曖昧なため、裁量の余地が大きいからです。厳密に定義されたトレンドライン以外はアート(定義)の領域になります。つまり、教えることはできないのです。ここで紹介する基本をベースに、自分で数多くのトレンドラインを引いて経験を積むことで自分なりのアートを完成させてください。

トレンドラインの種類と引き方

切り上がる谷(安値)を結んだトレンドラインを「上昇トレンドライン(下値支持線)」(図6−1)、切り下がる山(高値)を結んだトレンドラインを「下落トレンドライン(上値抵抗線)」(図6−2)と言います。


【図6−1】 上昇トレンドライン
上昇トレンドライン

【図6−2】 下落トレンドライン
下落トレンドライン

それでは、トレンドラインの引き方について考えてみましょう。

直線を引くためには、2つの点が必要ですから、上昇トレンドラインを引く場合、少なくとも2つの右肩上がりの谷(安値)を見つける必要があります。例えば、図6−3の場合、谷1と谷3を結んだ上昇トレンドラインを引くことができますが、一旦引いたトレンドラインが有効なものかどうかを確認するためには、次の谷5が仮の上昇トレンドラインを割り込まないことを確認しなければなりません。図6−3では、谷5がラインを割り込まなかったことから、初めてこの上昇トレンドラインの有効性が認められたことになります。

要するに、トレンドラインを引くためには、2つの点(右肩上がりの谷どうし、あるいは右肩下がりの山どうし)が必要であり、その有効性を確認するためには、3つ目の点(上昇トレンドラインにおいては谷、下落トレンドラインにおいては山)が必要となるのです。


【図6−3】 トレンドラインの有効性の確認
トレンドラインの有効性の確認

トレンドラインによる売買判断

トレンドラインは一度その有効性が確認されると、トレードしていく上で非常に重要なことを示唆してくれます。トレンドの基本概念の一つに、『動き始めたトレンドはしばらくその方向性を継続する』というものがあります。また、トレンドラインにより決定された一定の速度なり傾き(トレンドのスピード)を持つと、それも継続する傾向があるのです。この傾向により、トレンドラインには、上昇トレンドにおけるサポート(下値支持線)、下落トレンドにおけるレジスタンス(上値抵抗線)として機能する性質があるのです。したがって、トレンドラインは調整場面(上昇トレンドにおける反落場面、下落トレンドにおける反発場面)の限界水準を暗示するばかりでなく、トレンドラインが破られる(ブレイクされる)ことにより、トレンド転換の可能性をいち早く示唆してくるのです。

例えば、上昇トレンドの場合、幾度となく訪れる調整場面(押し目形成場面)において、その調整安の底値(押し目底)は上昇トレンドラインにタッチしたり、かなり近くまで接近したりすることになります。私たちが理想とする売買ポイントは、上昇トレンドにおける押し目底近辺で買いポジションを持つことですから、上昇トレンドラインは押し目買いを入れるポイントを示唆してくれるのです。一方、下落トレンドラインは、そのトレンドが継続するという前提において調整高の天井(戻り天井)の限界ポイントを暗示するものですので、戻り売りを入れるポイントを示唆してくれます。

トレンドラインはそれが破られない限り、押し目買いや戻り売りのポイントを決定するために活用することができますが、トレンドラインが決定的に破られた場合、それはトレンド転換の可能性を示唆するものとなります。これは、前々回に紹介したトレンドの定義よりも早い転換を告げるものですので、定義通りにトレンドを形成するとは限りません。ですので、トレンドラインのブレイクは、それまでのトレンドとは反対方向のポジションを新規に持つタイミングとして活用するのではなく、それまれのトレンドに沿って持っているポジションを手仕舞うタイミングとして活用するのが良いでしょう。


【図6−4】 押し目買いのポイントと上昇トレンドラインのブレイク
押し目買いのポイントと上昇トレンドラインのブレイク

図6−4をご覧ください。点5において上昇トレンドラインの有効性が確認されますので、点5と点7は押し目買いを入れるポイントとなります。仕掛け方としては、トレンドライン水準ちょうどまで下げるとは限りませんので、トレンドライン水準で待ち構えるのではなく、上昇トレンドラインへの接近(あるいは接触)後の反発場面(上昇トレンドライン最接近ポイントの高値を更新等)というのが無難です。

点9において上昇トレンドラインを下抜いていますので、下落トレンドへの転換の可能性を考え、それまでの買いポジションは手仕舞うことになります。


【図6−5】 戻り売りのポイントと下落トレンドラインのブレイク
戻り売りのポイントと下落トレンドラインのブレイク

図6−5をご覧ください。点5において下落トレンドラインの有効性が確認され、点5と点7が戻り売りを入れるポイントとなります。仕掛け方としては、下落トレンドラインへの接近(接触)後の反落場面(下落トレンドライン再接近ポイントの安値を更新等)が無難です。

点9において下落トレンドラインを上抜いていますので、上昇トレンドへの転換の可能性を考え、それまでの売りポジションは手仕舞うことになります。

トレンドラインの役割の逆転

前回述べましたが、サポートやレジスタンスは一度決定的に破られると、役割が逆転するという性質があります。トレンドラインもサポートやレジスタンスとして機能しますので、決定的な突破によって役割が逆転することになります。

それでは、決定的な突破の目安はどの程度でしょうか?

残念ながらこの質問に対する正確な答えはありません。テクニカル分析は明確な科学ではないのです。「相場の世界に絶対はない」のです。テクニカルの教科書では「終値ベースでトレンドラインから3%以上、3本連続の突破」を目安としています。これは相場分析レポートといった後講釈においては有効ですが、実践では役立ちません。筆者が目安にしているのは、「終値ベースで2本連続の突破」です。終値ベースで1本だけの突破では、結果として間違い(相場用語では「ダマシ」と言います)になる可能性が高いため、2本連続の突破をもってトレンドラインのブレイクと判断しています。自分なりの判断基準を見つけてください。

トレンドラインの修正

トレンドのスピードは常に一定ではありません。トレンドのスピードに応じて、トレンドラインを修正する必要が出てきます。トレンドラインを一本引いただけで将来にわたって有効だということはないのです。トレンドの状況に応じて何回も引きなおさなければならないのです。それが、トレンドラインによる売買判断を難しくしている要因になっています。


【図6−6】 トレンドラインが急すぎる例
トレンドラインが急すぎる例

最初に引いたトレンドラインが急すぎる場合、そのスピードを維持してトレンドが進展していくことが困難なことは想像に難くないでしょう。傾き(角度)の大きいトレンドラインが破られた場合、より傾き(角度)が緩やかなトレンドラインに取って変わられることが多いのです。


【図6−7】 トレンドラインが緩やかすぎる例
トレンドラインが緩やかすぎる例

上昇相場が典型的ですが、最初の上昇スピードは緩やかで、トレンドの進展に伴って徐々に上昇スピードを加速させていきます。最初に引いたトレンドラインが緩やかすぎる場合、傾き(角度)の大きいトレンドラインを引き直す必要があります。

トレンドラインは何度でも引き直せばよいというものでもありません。同じ方向のトレンドラインでしたら、概ね3回を限度として考えてください。緩やかなトレンドラインの場合、少し急なトレンドライン、急なトレンドラインと引いて、急なトレンドラインを破られた場合、少し急なトレンドラインまでの調整を考えるとともに、それまでのトレンドとは反対方向のトレンドラインも引いてみることが大切です。


【図6−8】 トレンドラインの修正
トレンドラインの修正

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第1回 テクニカル分析の意義
第2回 ローソク足の見方と判断法
第3回 酒田五法
第4回 トレンドの定義
第5回 サポートとレジスタンス
第6回 トレンドライン
第7回 チャネルラインと目標価格
第8回 天底転換パターン
第9回 天底転換パターン
第10回 中段保ち合いパターン
第11回 中段保ち合いパターン
第12回 移動平均線
第13回 移動平均線
第14回 ボリンジャーバンド
第15回 フィボナッチ
第16回 平均足
第17回 RSI(相対力指数)
第18回 テクニカル指標の変数

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