テクニカル分析入門
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テクニカル分析を分かりやすく説明します。

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テーマ:第9回 天底転換パターン

前回は数ある天底転換パターンの中で最も代表的なヘッド・アンド・ショルダーズについて紹介しました。パターンというよりもトレンドの概念の復習に近かったかも知れません。

前回言い忘れましたが、これら天底転換パターンは必ず成立するものでもありません。例えば、ネックラインを一旦ブレイクし、天底転換パターンを完成させた相場が、再びネックラインを横切るようなことは通常ありません。逆に言えば、ネックラインをブレイクした後に再びネックラインを抜けてくるような動きが確認された場合、これは天底転換パターンに似て非なる価格変動であると判断することになるのです。

ここに重要な教訓が二つあります。一つは、天底転換パターンを過信してはいけないということ。もう一つは、自分の分析に誤りの可能性を示すチャートシグナルに常に気をつけていなければならないということです。「判断を誤ることは正常なこと。それを修正しないことは異常である」という格言もありますが、相場の世界で生き残るためには、ミスは発見した時点で食い止めることが重要なのです。チャート分析のいいところは、判断の誤りを警告してくれることです。後は自分の誤りに気づいたらすぐにそれを認めて、防衛策を実行する意志と行動力が必要になってくるのです。


トリプル・トップとトリプル・ボトム

前回、ヘッド・アンド・ショルダーズに関して詳しく紹介しましたが、このパターンに関する多くのポイントは、他の天底転換パターンにも応用可能です。これから紹介するトリプル・トップやトリプル・ボトムは稀に起こるパターンなのですが、パターン自体はヘッド・アンド・ショルダーズの若干の変形に過ぎません。

図9−1をご覧ください。トリプル・トップは、三つの山(A点、C点、E点)が同じ水準にあることを除けば、ヘッド・アンド・ショルダーズと同じであることがお分かりいただけると思います。


【図9−1】 トリプル・トップ
トリプル・トップ

トリプル・トップのパターンにおいては、B点とD点を結んだネックラインを下抜いた時点で完成します。パターン完成時の下値目標は、トリプル・トップのパターンの高さをネックラインのブレイク地点から下に測った水準となります。また、通常、ネックライン突破後に同ラインを試す戻りが見られますが、パターン通りであれば、同ラインを超えることはありません。


【図9−2】 トリプル・ボトム
トリプル・ボトム

図9−2のように、三つの谷(a点、c点、e点)が同じ水準にあるパターンが、トリプル・ボトムです。b点とd点のネックラインを上抜いた時点でパターン完成となり、パターン完成時の上値目標は、ネックラインの突破地点から、パターンの高さ分だけ上に測った地点となります。このパターンも、ネックライン突破後に同ライン近辺までの押しを見せるケースがありますが、パターン通りに推移するのであれば、同ラインを下抜けることはありません。


ダブル・トップとダブル・ボトム

トリプル・トップやトリプル・ボトムに比べると非常に多く見られる天底転換パターンがダブル・トップやダブル・ボトムです。このパターンは、ヘッド・アンド・ショルダーズに次いで多く見られ、識別も比較的容易です。図9−3がダブル・トップ、図9−4がダブル・ボトムの典型パターンを示しており、前者は「M型天井」、後者は「W型底」とも呼ばれます。


【図9−3】 ダブル・トップ(M型天井)
ダブル・トップ(M型天井)

ダブル・トップでは、二つの山(A点とC点)がほぼ同じ水準にあります。ぴったり同じである必要はありません。C点から反落開始となった時点ではまだダブル・トップが形成されたに過ぎず、これだけで天井パターンとは判定できません。ダブル・トップ間の谷(B点)水準(ネックライン)を終値ベースでブレイクして初めて天井パターンが完成するのです。

実践的には、C点からの反落場面において売りを仕掛けるのが理想でしょうが、ここでは試し玉程度にとどめておくのが賢明でしょう。ダブル・トップの天井パターンが形成された場合、ダブル・トップ間の高さの50%水準を試す動きを見せます。ここで跳ね返された場合、ダブル・トップ水準をテストする展開となって、高値更新なら一段高、高値更新失敗ならトリプル・トップ形成となって再び反落に転じます。ちなみに、トリプル・トップによる3回目の下落は、通常、最初の2回よりも速く、下げ幅も大きくなります。一方、50%水準を下抜いてきた場合、ネックラインをテストする展開となります。C点段階では、トレンドを継続するのか、トレンド転換なのかは判断できないのです。このため、C点からの反落場面では通常よりも少ないポジションサイズで仕掛けるか、50%水準前後でポジションの半分を手仕舞うなど早めの利食いを行う、C点を超える上昇を見せた場合、すぐに損切りし、損失を最小限にとどめる─などの工夫が必要です。

ダブル・トップにおける比較的安全な売買ポイントは、ネックラインをブレイクする地点です。C点からの反落で運良く売りポジションを仕掛けられた場合は、ここで売りポジションを積み増しすることになります。パターン完成後はネックライン近辺までの戻りを見せることがありますが、パターン通りに推移するのであれば、ネックラインを上回ることはありません。この戻りが一巡して下落再開となるところがダブル・トップの天井パターンの最後の仕掛け場になります。「上昇は遅いが、下落は早い」という相場の習性からは、ダブル・トップ完成時においてネックラインまでの戻りを見せないケースもありますのでそのあたりは臨機応変に対処をお願いいたします。また、ネックラインを下回った相場ですので、この動きをもって上昇トレンドの再開と判断することは誤りです。

ダブル・トップが完成した場合の下値目標は、ネックライン水準からダブル・トップのパターンの高さ分だけ差し引いた水準となります。


【図9−4】 ダブル・ボトム(W型底)
ダブル・ボトム(W型底)

一方、ダブル・ボトムはダブル・トップを鏡に映した像と考えると分かりやすいでしょう。ダブル・ボトムの底型パターン完成時の上値目標は、ネックライン水準からダブル・ボトムのパターンの高さ分だけ上乗せした水準となります。パターン完成後にネックライン近辺までの押しを見せる可能性はダブル・トップよりも高い傾向にあります。


ダブル・トップやダブル・ボトムの注意点

実際の相場においては、ダブル・トップの右側のトップが左側のトップよりも低い、あるいは、ダブル・ボトムの右側のボトムが左側のボトムよりも高いというパターンが多いのがほとんどなのですが、近年では、ダブル・トップの右側のトップが左側のトップよりも高い、あるいはダブル・ボトムの右側のボトムが左側のボトムよりも低いというパターンが頻繁に見られるようになっています。

図9−5をご覧ください。前回高値であるA点水準のレジスタンスを超えた時点では、上昇トレンド継続と判断してしまいますが、A点を付ける波動で見せた上昇に比べて短い上昇波動で反転し、すぐにA点水準のサポートを割り込む動きを見せるのが特徴です。高値更新で上昇トレンド継続と判断して買い付いた投資家が引かされますので、A点からB点への下げに比べて短期間で大きな下落を見せるのがこのパターンの特徴です。

この高値更新型ダブル・トップ・パターンが日足ベースで出現する時は、日中には高値更新を見せていますが、上ヒゲを残し、終値ベースではA点を超えていない、あるいは終値ベースで高値更新した場合には、翌日に大陰線で急落するといったパターンが多いようです。


【図9−5】 高値更新がダマシとなったダブル・トップ
高値更新がダマシとなったダブル・トップ

図9−6をご覧ください。次は、ダブル・トップの天井パターンが完成しない典型的な例をご紹介します。C点において直前の高値A点を超えられずに反落に転じますが、この段階ではまだダブル・トップが形成されたに過ぎません。ダブル・トップが形成された場合、通常、2回目の下落では最初のそれよりも速く、下げ幅も大きくなる傾向があります。ですので、実践的には、A点からB点の日柄と下げ幅を調べておくことになります。ダブル・トップ形成からの下げ方が緩やかな場合、通常、直前のダブル・トップ間の値幅の50%水準やそれまでの上昇トレンドラインでサポートされることが多く、この場合、ほとんどのケースではダブル・トップ水準をブレイクして上昇トレンドを再開します。ネックライン水準まで下げて反発に転じた場合、上値テストに向かいますが、トリプル・トップとなるか、高値更新となるかは確率的には五分五分です。


【図9−6】 ダブル・トップが完成しなかった例
ダブル・トップが完成しなかった例

(参考)4回目のテスト

天底転換パターンはあらゆるチャート分析の教科書に紹介されていますが、4点で天底を構成するパターンについて解説されたものはほとんど見かけません。なぜなら、トリプル・トップやトリプル・ボトムでトレンド転換に失敗し、4回目の高値テストや安値テストに向かうような相場では、大抵、それ以前に進行していたトレンドの方向にブレイクすることが多いからです。

しかし、非常に稀なパターンですが、4点天井(MM型天井)や4点底(WW型底)を形成した場合、スピードの速い大きな反転となるケースとなります。ただし、4点天井や4点底を形成しても反転スピードに変化が見られないようなら、横ばいトレンドが長期化するものと考えた方が良いようです。


シングル・トップとシングル・ボトム

これまで説明してきたパターンは、揉み合いの期間を経てトレンドが反転するものでした。古いトレンドが徐々に弱まって、需給が均衡状態になり、綱引商状で推移した後に新しいトレンドが始まるという筋書きですが、相場が横這いで推移する期間があるからこそ、その間にトレンド転換のカギであるパターンを見つけ出すことができたのです。しかし、チャートを観察しますと、急落の底から押し目らしい押し目を見せずに急反騰しているケースや、急騰の大天井から戻りらしい戻りを見せずに急落しているケースを頻繁に見かけます。これらの天底転換パターンは、何の前触れもなく突然トレンドが反転するため、その時点ではパターンを識別することは非常に難しいのです。

これらのパターンは、天底が一つで構成されていることから、シングル・トップ、シングル・ボトムと呼ばれています。急騰・急落後に見られることから、シャープ・トップ、シャープ・ボトム、あるいは、アルファベットのV字に似た形となっていることから逆V字型天井、V字型底と呼ばれることもあります。


【図9−7】 シングル・トップ
シングル・トップ

【図9−8】 シングル・ボトム
シングル・ボトム

シングル・トップやシングル・ボトムは、6〜7週間、時には10週間にも及ぶ急速な上昇あるいは下落によって相場が行き過ぎ状態を示し、それによってトレンドが終焉を迎えるパターンです。トレンドが加速し、基本的なトレンドラインから大きく乖離した状態となったことで、そのトレンドラインへ回帰する動きを見せることで形成され、トレンドラインのブレイクによって完成されます。

このパターンは明確なチャートポイントが存在しないことが多いため、実践的での対応は非常に難しいと言わざるを得ません。反転パターンの前提として、トレンドが存在しており、シングル・トップやシングル・ボトムを形成するためには、通常、急で値動きの激しい展開となっています。ボラティリティ(価格変動率)が大きい局面のため、上手く行けば短期間で大きな利幅を取れますが、逆に行けばそれだけ損失も膨らんでしまいます。このような展開において、どのように対処すればよいでしょうか?

答えの一つに、第2回で紹介したローソク足の足型やローソク足の組み合わせで天底転換の可能性を見つけ出し、日々の高値・安値で仕掛けや手仕舞いを考えるという方法があります。上影線の長いものは上値抵抗、下影線の長いものは下値抵抗を暗示する線です。また、寄引同時線は攻防の分岐を示唆する線でした。また、はらみ線や包み線、被せ線や切り込み線は転換時に多く出現する組み合わせです。これらの転換パターンを参考に、そこからの続伸・続落をもって仕掛けや手仕舞いといったトレードプランを練ることができます。

直近2本の高値同士、安値同士を結ぶトレンドラインや直前の高値・安値の更新をもって判断する方法もあります。上昇トレンド時において、直近2本の安値を結んだ上昇トレンドラインを割り込む動き、あるいは前日安値を割り込む動きは、目先的な上昇トレンドが転換する可能性を示唆する兆候です。下落トレンド時において、直近2本の高値を結んだ下落トレンドラインを上抜ける動き、あるいは前日高値を突破する動きは、目先的な下落トレンドが転換する可能性を示唆する兆候です。このようなチャートのシグナルを読み取って仕掛けや手仕舞いを行っていくのも一法です。


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Backnumber
第1回 テクニカル分析の意義
第2回 ローソク足の見方と判断法
第3回 酒田五法
第4回 トレンドの定義
第5回 サポートとレジスタンス
第6回 トレンドライン
第7回 チャネルラインと目標価格
第8回 天底転換パターン
第9回 天底転換パターン
第10回 中段保ち合いパターン
第11回 中段保ち合いパターン
第12回 移動平均線
第13回 移動平均線
第14回 ボリンジャーバンド
第15回 フィボナッチ
第16回 平均足
第17回 RSI(相対力指数)
第18回 テクニカル指標の変数

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