テクニカル分析入門
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テクニカル分析入門
テーマ:第11回 中段保ち合いパターン

ブロードニング・フォーメーション

前回は代表的な中段保ち合いパターンである「トライアングル」をご紹介しました。トライアングルでは、上値が切り下がる一方で下値は切り上がる収縮型三角形の保ち合いを形成するものでしたが、「ブロードニング・フォーメーション」では、上値が切り上がる一方で下値も切り下がる、トライアングルとは逆に三角形が拡大していくかのような保ち合いを描きます。

このパターンは、長期で上昇トレンドを描いていた相場が、トレンド末期の乱高下で出現することが多いとされ、このパターンが出るとそろそろ天井圏だと予測することになります。いわゆる天底転換パターンの一つです。このパターンが形成される過程において、上値を切り上げる一方で下値を切り下げるという、トレンドの定義だけでは判断できない動きとなります。相場が荒れ模様の時に出現するかなり珍しいパターンですが、為替相場では結構見かけるパターンですので、覚えておいても損はないでしょう。


【図11−1】 ブロードニング・フォーメーション
ブロードニング・フォーメーション

さて、ブロードニング・フォーメーションが形成される過程において、どのようなトレード判断を行えばよいのでしょうか?

図11−1の点1、点2の形成においては、通常の山と谷の形成ですが、点3においては、点1を超える高値更新であり、トレンドの定義に従えば、上昇トレンド継続が確認されたことになります。この時、点1は前回レジスタンスであり、ここを超えたことでサポートに役割が逆転することになります。点3の高値更新にもかかわらず、点1のサポートを割り込む動きを見せたことで、高値更新がダマシとなる変型ダブルトップの可能性を考えることになります。点3出現後の下落で点2のサポートを割り込んだ段階では、変型ダブルトップが完成したと判断しますが、点4出現後に点2のレジスタンスを上抜く動きを見せた時におかしいと感じることができるかどうかが重要です。天底転換パターンにおいて、重要なネックラインをブレイクする動きを見せた後、天底転換パターン通りの動きを見せるのであれば、ネックラインを再び横切ることはありません。逆に言えば、ネックラインを再び横切る動きを見せる場合は、それは天底転換パターン通りの動きをしないというシグナルなのです。つまり、点4からの上昇で点2のレジスタンスを超えてきた場合、現在のパターンを高値更新、安値更新の「ブロードニング・フォーメーション」だと判断することになるのです。その後の対応としては、点3を超える上昇を見せて点5が出現した後、点3のサポートレベルを割り込む動きを見せたところで売り出動。点2と点4の切り下がる下値支持線を割り込んだところで追随売りという感じになります。


(参考)ロルッソーの5ポイントリバーサル

ブロードニング・フォーメーションを天底転換パターンとして厳格にまとめたものが、「ロルッソーの5ポイントリバーサル」と呼ばれるものです。過去のブロードニング・フォーメーションを調べてみると、天井転換となる場合、高値更新が3回、底転換となる場合、安値更新が3回というケースがほとんどであり、高値更新、安値更新が合計5回起こったところでトレンド転換すると定義しました。


【図11−2】 ロルッソーの5ポイントリバーサル
天井形成の5ポイントリバーサル
天井形成の5ポイントリバーサル

底形成の5ポイントリバーサル
 底形成の5ポイントリバーサル


ダイヤモンド・フォーメーション

ブロードニング・フォーメーションのみでの天底転換に失敗し、パターン延長として、ブロードニング・フォーメーションの後にトライアングルを形成するのが「ダイヤモンド・フォーメーション」です。非常に珍しいパターンで、その名の通り、ひし形に形成したチャートパターンがダイヤモンドに見えることから、このネーミングで呼ばれています。天井圏で出現することが多く、天底転換パターンという認識となります。パターン終盤のブレイク後は短期間で大きな急落を見せることが多く、ポジションメイクのチャンスとなることが多いようです。


【図11−3】 ダイヤモンド・フォーメーション
ダイヤモンド・フォーメーション


フラッグとペナント

形成に1ヵ月とかからない短期のチャートパターンの代表的なものに、「フラッグ」や「ペナント」があります。これらのパターンの信頼度は高く、トレンドが転換することはほとんどありません。フラッグやペナントのパターン形成に先立って、急騰や急落といった直線的な動きが見られることが前提条件となります。これらのパターンは、この急激な上昇や下落といった行き過ぎに対して、再び同じ方向へ動き出す前に必要な「息継ぎ」的な役割を担っているのです。

フラッグやペナントは大体1週間〜3週間以内に完成されます。下落トレンドにおいて出現する場合は特に短く、長くても10日前後で完成されることが多いようです。

それでは、フラッグやペナントのパターン形成について詳しく見ていくことにしましょう。

フラッグは、現在進行形のトレンドの方向とは逆の傾斜を持つ2本の平行なラインによって作られ、平行四辺形に似た形を描きます。相場が上昇トレンドにある場合は、フラッグは下向きの傾斜を持ち、下落トレンドにある場合は、フラッグは上向きの傾斜を持つことになります。それぞれ「強気フラッグ(ブリッシュフラッグ)」、「弱気フラッグ(ベアリッシュフラッグ)」と呼ばれます。


【図11−4】 強気フラッグ(ブリッシュフラッグ)
強気フラッグ(ブリッシュフラッグ)

【図11−5】 弱気フラッグ(ベアリッシュフラッグ)
弱気フラッグ(ベアリッシュフラッグ)

図11−4をご覧ください。強気フラッグにおいては、点1から点2への急騰の後、点2→点3(下落1波)、点3→点4(上昇2波)、点4→点5(下落3波)、点5→点6(上昇4波)、点6→点7(下落5波)という5線(5波動)で形成されます。この5線は上値切り下げ、下値切り下げの下落トレンドを描きますが、下落1波と上昇4波が交わる、すなわち点3<点6という位置関係となり、パターン形成前と比べて1波が時間的にも値幅的にも短いのが特徴です。

強気フラッグのパターン完成は、点2と点4を結んで描かれるレジスタンスラインを上抜けることによって確認されます。この動きにより、上昇トレンドが再開したものと判断します。

一方、ペナントは、2本の収斂するラインによって形成されます。トライアングルで見られたように、一辺が水平で他辺が切り上がる、あるいは切り下がるといった種類はなく、概ね上下対称な形をしており、小型のシンメトリカル・トライアングルと非常によく似ています。

ペナントのパターン完成は、図11−6の点2と点4を結んで描かれるレジスタンスラインを上抜けることによって確認されます。この動きにより、上昇トレンドが再開したものと判断します。


【図11−6】 ペナント
ペナント

目標価格については、フラッグ、ペナントともに同じ方法で計算され、概ね3種類の計算方法が知られています。

一つは、トライアングル同様、保ち合いパターンの最も広い部分の高さを測り、突破が確認された地点からその高さを投影する方法です。しかし、フラッグやペナントは、パターン自体が小さい傾向がありますので、この方法によって求められる目標価格はすぐにクリアされることが多いようです。

もう一つは、パターン形成前の急騰や急落の値動きをベースにするという方法で、図11−4や図11−6の点1から点2への変動幅を点7から投影した水準を目標価格とする方法です。

最後の方法は、経験的にフラッグやペナントがトレンド全体の中間地点に現れる傾向にあるという特徴を用いて、パターン形成の前の変動幅(上昇トレンド時には、トレンドの起点となる底からパターン形成前の高値までの上昇幅、下落トレンド時には、トレンドの起点となる天井からパターン形成前の安値までの下落幅)を、パターン完成の突破地点から投影するという方法です。この方法によって計算される目標価格はトレンドの最終目標価格的な意味合いが強く、必ずしも目標価格まで到達するとは言えませんのでご注意ください。


ウェッジ

中段保ち合いのパターンの最後に紹介するのはウェッジ(くさび)と呼ばれるものです。このパターンは形状や形成に要する時間の点でトライアングルによく似ています。ウェッジはトライアングル同様、アペックスに向かって収斂する2本のラインによって識別され、パターン完成には3週間〜3ヵ月の時間を要するとされています。

ウェッジの特徴は、上向きもしくは下向きの傾斜で、この傾斜はフラッグと同様、通常はトレンドに対して逆向きとなります。このため、下向きのウェッジが強気を意味し、上向きのウェッジが弱気を意味することになります。

図11−7が強気を示すウェッジです。強気ウェッジは2本の収斂するラインが下向きの傾斜を形作っています。形状的にはディセンディング・トライアングルと似ていますので、弱気と考える方も多いのですが、パターンを形成する前のトレンドが上昇であり、上値の切り下がりに対して、下値の切り下がり方が鈍く、下値抵抗を示している点に注意する必要があります。


【図11−7】 強気ウェッジ
強気ウェッジ

図11−8が弱気を示すウェッジです。弱気ウェジは2本の収斂するラインが上向きの傾斜を作っています。


【図11−8】 弱気ウェッジ
弱気ウェッジ

ウェッジ・パターンにおける目標価格の計算方法は、トライアングル同様、ウェッジの最も幅の広い部分の高さを測り、この高さを突破が確認された地点から投影するという方法が一般的です。この他には、ウェッジ・パターンを形成する前の変動幅をウェッジ・パターン完成前の転換地点に投影する方法もあります。


天底転換パターンとしてのウェッジ

通常、ウェッジは現在進行形のトレンドの中段保ち合いのパターンとして出現することが多いのですが、時として天井圏や底値圏で出現し、天底転換のパターンとなることもあります。

例えば、上昇トレンドにおいて弱気ウェッジを描いた場合、どのように判断したらよいのでしょうか?

弱気ウェッジは、下値の切り上げに対して、上値の切り上げが鈍いのが特徴です。上昇トレンドにおいて上値の切り上げが確認されるということは、通常は上昇トレンドの継続を意味することになります。しかし、下値の切り上げよりも鈍いということは、買い意欲が旺盛なものの、高値をさらに買っていけるだけの強さでもなく、買い方が買えなくなればあとは売るだけ、相場は下がるだけとなります。ですので、上昇トレンドにおける弱気ウェッジは天井打ちのパターンと判断するのです。

同様に、下落トレンドにおける強気ウェッジは底入れのパターンとなるのです。



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第1回 テクニカル分析の意義
第2回 ローソク足の見方と判断法
第3回 酒田五法
第4回 トレンドの定義
第5回 サポートとレジスタンス
第6回 トレンドライン
第7回 チャネルラインと目標価格
第8回 天底転換パターン
第9回 天底転換パターン
第10回 中段保ち合いパターン
第11回 中段保ち合いパターン
第12回 移動平均線
第13回 移動平均線
第14回 ボリンジャーバンド
第15回 フィボナッチ
第16回 平均足
第17回 RSI(相対力指数)
第18回 テクニカル指標の変数

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