テクニカル分析入門
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テクニカル分析を分かりやすく説明します。

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テーマ:第12回 移動平均線

相場を分析する基本として、ローソク足の見方から始まり、トレンドの定義、サポートとレジスタンス、トレンドライン、天底転換のパターン、中段保ち合いのパターンと解説してきました。これら伝統的な分析手法はチャートを観ていく上で欠かせないアイテムなのですが、客観的な判断がウリであるテクニカル分析の中にあって、分析者自身の能力が問われる分析手法でもあるのです。このような主観的な判断を伴う伝統的なチャート分析の欠点を補うために開発されたものが、数理統計学を応用した様々なテクニカル分析手法なのです。

今回は、相場分析の第一歩であるトレンド分析用に開発された移動平均線について解説いたします。


移動平均線とは

トレンド分析の基本は、トレンドラインを用いた方法ですが、トレンドラインの引き方は人によってまちまちであり、客観性に乏しいという欠点があります。そこで、結果的にトレンドラインとなるような線を機械的に算出しようとして考案されたのが移動平均線なのです。

移動平均線は、一定期間の平均値をつなぎ合わせた線で、ジグザグに動く価格変動を滑らかにし、目先の変動に惑わされずにトレンドの方向性を掴むというのが本来の見方です。

この見方を重視すれば、移動平均線はトレンドラインの代用であり、「サポート、レジスタンス」としての意味合いが強いことになります。そして、日々線が右肩上がりの移動平均線の上方にあれば上昇トレンド、日々線が右肩下がりの移動平均線の下方にあれば下落トレンドと判断するのが基本的な見方となります。

しかし今日では、有名な「グランビルの法則」の他、「周期の異なる2本の移動平均線がクロスしたポイントで売買」、「移動平均線を値動きの中心線として判断」など様々な応用がなされています。


移動平均線の種類と計算方法

移動平均線は過去n本(分、時間、日、週、月等)の平均値をつないでいくもので、「単純移動平均線」「加重移動平均線」「指数平滑移動平均線」など様々な計算方法があります。


【表12−1 】 移動平均線の種類と計算方法
移動平均線の種類と計算方法

単純移動平均は、私たちに最もなじみのある平均(算術平均)の計算方法です。移動平均線の中でも代表的な計算方法となっています。

加重移動平均は直近の値段にウェイトをおいた移動平均線です。加重移動平均線の動きは、相場の動きに近くなる性質を持っています。

指数平滑移動平均とは累積加重のことで、わかりやすく言えば、保有する全期間のデータを計算期間とした加重移動平均となります。


【図12−1】 移動平均線の種類
移動平均線の種類
※チャート画像は、インベストメントテクノロジーズ株式会社のEdgeTrader(R) によるものです。 当該画像の著作権は、同社に帰属します。

図12−1は、英ポンド/円の日足に各種移動平均線を重ね合わせたチャートです。赤色の線が単純移動平均線、緑色の線が加重移動平均線、青色の線が指数平滑移動平均線となっています。期間はそれぞれ20日間で計算してあります。

これを見ますと、単純移動平均線よりも加重移動平均線の方が相場に沿った動きをしていることがわかります。また、指数平滑移動平均線は相場の動きに応じて変化しており、トレンドが発生している時は単純移動平均線よりも反応が良く、保ち合い場面においては単純移動平均線よりも反応が鈍くなっていることが確認できると思います。


移動平均線の計算で終値を使用する意味

一般的に、移動平均線は終値で計算されます。市場データとしては、始値・高値・安値・終値の4本あり、これらは一日の取引時間の両端(始値、終値)と価格の両端(高値、安値)を意味しています。

その中にあって終値は、その日一日の出来事を全て織り込んで形成される上、将来に最も近い価格なのです。明日の相場を思案する場合、市場参加者の思考の拠り所となるのは終値だと言えます。また、価格変動は瞬間瞬間につく値段を市場参加者が認めなかったために起こると考えられますが、終値は市場参加者の思惑が一致した最終的な結果であり、皆が妥当であると容認した価格であると見なすことができます。このため、終値は市場参加者のその日の平均コストと見ることができます。

以上が、移動平均線を終値で計算している根拠ですが、勿論、高値と安値の中間値を用いて計算してもかまいませんし、高値と安値と終値の3本値の平均値、4本値の平均値、高値だけ、安値だけで計算してもかまいません。要は、分析の目的が明確であり、その目的を達成できるものを使用すれば良いのです。


サポート、レジスタンスとしての機能

さて、終値がその日一日の市場参加者の平均コストであると考えた場合、終値を用いて計算された移動平均線は、平均コスト=損益分岐点であると見なすことができます。

わかりやすくするために、上昇相場において、ある人が毎日、終値で買いポジションをもったと仮定しましょう。その後、相場が下落し、損益分岐点である移動平均線を下抜いてしまった場合、その人は含み損を抱えたことでポジションの変更を考えることになり、大抵のケースでは、一部もしくは全てのポジションを手仕舞う方向で動きます。だれしもが有利な価格で手仕舞いたいと思いますので、移動平均線までの戻りを期待しますが、思ったような戻りがないと投げ売りが出ることになり、相場の下げ足が加速することになるのです。

一方で、毎日、終値で売りポジションをもった人は、それまでの損失のほとんどを取り戻すことになり、移動平均線近辺で売りポジションの一部の手仕舞いを考えます。しかし、相場が移動平均線を維持するようだと、売り方はポジションの全ての手仕舞いを考えさせられることになるのです。

このように、移動平均線は買い方、売り方の心理的な節目にあたり、サポートやレジスタンスとして機能するケースがあるのです。

また、移動平均線は終値の動きを平滑化したラインであり、相場が現在どの方向に向かっているのかを客観的に指し示してくれます。つまり、移動平均線の勾配そのものが過去一定期間の相場の趨勢を物語っているとも言えます。


移動平均線を計算する期間

移動平均線は分析の目的に沿った期間(変数)を選ぶ必要があります。実践的には、どのような銘柄にも固定的な期間を用いることになりますが、それぞれの銘柄の習性に応じた期間(変数)を選ぶのが理想的です。

前述しましたサポートやレジスタンスとして有効な移動平均線の期間(変数)は、相場の周期(相場の谷から谷までの期間)の2分の1、同4分の1とされています。


【図12−2】 移動平均線の期間
移動平均線の期間

図12−2は、上昇・下落のスピードが一定という理想的な20日サイクルの相場に対して、5日移動平均線、10日移動平均線、20日移動平均線を引いたものです。

これを見ますと、20日移動平均線は相場の強弱を判断する分岐点となっていることがわかります。上図では、10日移動平均線より5日移動平均線の方が基調転換をより早く示していますが、実際の相場変動というものは、日々線にブレがありますので、5日移動平均線で基調転換を判断するよりも10日移動平均線で判断した方が安全な場合もあります。



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第1回 テクニカル分析の意義
第2回 ローソク足の見方と判断法
第3回 酒田五法
第4回 トレンドの定義
第5回 サポートとレジスタンス
第6回 トレンドライン
第7回 チャネルラインと目標価格
第8回 天底転換パターン
第9回 天底転換パターン
第10回 中段保ち合いパターン
第11回 中段保ち合いパターン
第12回 移動平均線
第13回 移動平均線
第14回 ボリンジャーバンド
第15回 フィボナッチ
第16回 平均足
第17回 RSI(相対力指数)
第18回 テクニカル指標の変数

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