テクニカル分析入門
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テクニカル分析を分かりやすく説明します。

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テクニカル分析入門
テーマ:第13回 移動平均線

前回は移動平均線の基本的な考え方を紹介しましたので、今回は移動平均線の見方と活用法について検討することにしましょう。


移動平均線の方向性

移動平均線は元来、トレンドラインの代用として開発されたものですので、移動平均線は、トレンドの方向性を示唆するものとなります。ですから、移動平均線で相場判断を行う場合は、トレードプランに適した移動平均線の方向性をチェックすることとなります。

移動平均線は、その設定された期間に応じたトレンドの方向性とその転換の可能性を知らせてくれるのみならず、より長期のトレンドの最初の転換をも教えてくれるものです。トレンド分析の問題点は、トレンドにおける通常の調整的な値動きとトレンド転換の端緒とを区別することが困難なところにあります。そのため、いかなる反転の動きでもトレンド転換につながるのではないかと疑ってかかる必要があるのです。

移動平均線の方向性を見る場合、移動平均線が右肩上がりの場合は上昇トレンド、移動平均線が右肩下がりの場合は下落トレンド、移動平均線が横這いの場合は横ばい(トレンドレス)と判断します。このように記しますと、判ったような感じになりますが、定義が曖昧ですので、実践では判断に迷いが生じてしまいます。

トレンドの方向性をどのように定義すればよいでしょうか? 何をもって右肩上がり、右肩下がり、横ばいと見なすのでしょうか?

移動平均線の上昇(前日比プラス)、下落(前日比マイナス)という価格面だけでトレンドの方向性を定義すると、横ばい(トレンドレス)の状態を定義できないことになります。この場合、価格にフィルターをもたせることで横ばい(トレンドレス)を定義することが可能になります。たとえば、ティック(刻み値)をベースとして、Xティック(X=1,2,3,…等)の変動がない場合は横ばいと定義し、移動平均線がXティック以上の上昇を見せた場合に上昇トレンド、移動平均線がXティック以上の下落を見せた場合に下落トレンドと定義するというものです。この他、時間のフィルターをもたせる方法もあります。たとえば、移動平均線がY日(Y=1,2,3,…等)連続で上昇した場合を上昇トレンド、移動平均線がY日連続で下落した場合を下落トレンド、それ以外の場合を横ばいと定義するというものです。価格と時間の両面のフィルターをもたせる方法も考えられます。移動平均線がY日連続でXティック以上の上昇を見せた場合を上昇トレンド、移動平均線がY日連続でXティック以上の下落を見せた場合を下落トレンド、それ以外を横ばいと定義するというものです。

トレンドの方向性の定義として、上記のいずれを採用し、XやYの変数(パラメータ)として何にするのかは、個人の投資スタイルや投資対象銘柄に応じて決定してください。


日々線と移動平均線との位置関係

続いて、日々線と移動平均線との位置関係からトレンドの状態を判断します。

顱貌々線が右肩上がりの移動平均線の上方に位置している場合、上昇トレンド継続と判断。    日々線(終値)>右肩上がりの移動平均線=上昇トレンド継続中

髻貌々線が右肩下がりの移動平均線の下方に位置している場合、下落トレンド継続と判断。    日々線(終値)<右肩下がりの移動平均線=下落トレンド継続中

鵝貌々線が右肩上がりの移動平均線の下方に位置している場合、あるいは日々線が右肩下    がりの移動平均線の上方に位置している場合、トレンド転換の過渡期と判断。
日々線(終値)<右肩上がりの移動平均線=トレンド転換に注意
日々線(終値)>右肩下がりの移動平均線=トレンド転換に注意


これらの特徴を考慮して、トレンド転換のパターンを調べてみますと、以下の2通りに分類されます。

a)移動平均線が横這いの状態で日々線が移動平均線を挟んで推移している場合、日々線が大きく放れた方向にトレンド転換

b)日々線が右肩上がりの移動平均線を下抜いた後、移動平均線までの戻りを見せている間に移動平均線が右肩下がりに変化してトレンド転換、あるいは、日々線が右肩下がりの移動平均線を上抜いた後、移動平均線までの押しを見せている間に移動平均線が右肩上がりに変化してトレンド転換


複数の移動平均線の位置関係

トレードに活用する移動平均線を短期移動平均線と定義した場合、補助指標として活用する中長期の移動平均線との位置関係を調べます。

移動平均線はその性質からサポート、レジスタンスとして機能することは前回述べましたが、中長期の移動平均線の位置関係を調べることで、目標価格の設定が可能になってくるのです。

テクニカルコメントでは、9日移動平均線、26日移動平均線、52日移動平均線の3本の移動平均線を活用しています。この場合の相場判断は以下の通りとなります。


日々線>9日移動平均線>26日移動平均線>52日移動平均線で各移動平均線が右肩上がりで推している場合
長期上昇トレンドを展開中であり、9日移動平均線までの下落は自律調整であり、9日移動平均線を維持しての反発(日々線が前日高値更新)を上昇再開と定義。

9日移動平均線>日々線>26日移動平均線>52日移動平均線で各移動平均線が右肩上がりで推している場合
長期上昇トレンドの調整場面本格化で26日移動平均線を試す展開を想定。
26日移動平均線を維持しての反発(日々線が前日高値更新)となった場合、9日移動平均線(右肩下がりに転じている場合あり)を超えられるかどうかが焦点となり、9日移動平均線を上抜いて続伸(前日高値更新かつ前日比高)となれば直近の高値試しを想定。一方、9日移動平均線に戻りを阻まれるようなら再び26日移動平均線への下落を覚悟。9日移動平均線と26日移動平均線のレンジを放れた方向に就くスタンスを取る。

9日移動平均線>26日移動平均線>日々線>52日移動平均線で26日と52日の移動平均線が右肩上がりで推している場合(26日移動平均線>9日移動平均線に位置が逆転しているケースもあり)
長期上昇トレンドは継続中も短期は既に下落トレンドに転換中で長期上昇トレンド継続の生命線である52日移動平均線を試す展開を想定。
52日移動平均線を維持しての反発(日々線が前日高値更新)となった場合、26日移動平均線(右肩下がりに転じている場合あり)を超えられるかどうかが焦点となり、26日移動平均線を上抜いて続伸(前日高値更新かつ前日比高)となれば直近の高値試しを想定。一方、26日移動平均線に戻りを阻まれるようなら再び52日移動平均線への下落を覚悟。26日移動平均線と52日移動平均線のレンジを放れた方向に就くスタンスを取る。
52日移動平均線を割り込んできた場合、長期上昇トレンドは終焉したと判断。

日々線<9日移動平均線<26日移動平均線<52日移動平均線で各移動平均線が右肩下がりで推している場合
長期下落トレンドを展開中であり、9日移動平均線までの上昇は自律調整であり、9日移動平均線を超えられずに反落(日々線が前日安値更新)を下落再開と定義。

9日移動平均線<日々線<26日移動平均線<52日移動平均線で各移動平均線が右肩下がりで推している場合
長期下落トレンドの調整場面本格化で26日移動平均線を試す展開を想定。
26日移動平均線を超えられずに反落(日々線が前日安値更新)となった場合、9日移動平均線(右肩上がりに転じている場合あり)を下抜くどうかが焦点となり、9日移動平均線を下抜いて続落(前日安値更新かつ前日比安)となれば直近の安値試しを想定。一方、9日移動平均線を維持するようなら再び26日移動平均線を試す上昇を想定。9日移動平均線と26日移動平均線のレンジを放れた方向に就くスタンスを取る。

9日移動平均線<26日移動平均線<日々線<52日移動平均線で26日と52日の移動平均線が右肩下がりで推している場合(26日移動平均線<9日移動平均線に位置が逆転しているケースもあり)
長期下落トレンドは継続中も短期は既に上昇トレンドに転換中で長期下落トレンド継続の生命線である52日移動平均線を試す展開を想定。
52日移動平均線を超えられずに反落(日々線が前日安値更新)となった場合、26日移動平均線(右肩上がりに転じている場合あり)を下抜くかどうかが焦点となり、26日移動平均線を下抜いて続落(前日安値更新かつ前日比安)となれば直近の安値試しを想定。一方、26日移動平均線を維持するようなら再び52日移動平均線を試す展開を想定。26日移動平均線と52日移動平均線のレンジを放れた方向に就くスタンスを取る。
52日移動平均線を超えてきた場合、長期下落トレンドは終焉したと判断。


グランビルの法則

移動平均線を用いた具体的な売買判断の方法として、古くから知られているものに、「J・E・グランビルの200日移動平均線の法則」、通称、「グランビルの法則」があります。

グランビルの法則は200日移動平均線を用いて売買のタイミングを判断するための方法で、以下の8つの売買サインから成り立っています。


【図13−1】 グランビルの法則
グランビルの法則

買いサイン
移動平均線が右肩下がりを続けた後に横ばいとなっている状態において、日々線が移動平均線を上抜いた時、トレンド転換を示す買いサイン(図13−1の買 砲箸覆襦

買いサイン
移動平均線が右肩上がりで推移している状態において、日々線が移動平均線を下抜いた後に移動平均線を回復する動きが見られた時、押し目買いのサイン(図13−1の買◆砲箸覆襦

買いサイン
移動平均線が右肩上がりで推移している状態において、日々線が移動平均線に向かって下がるも、移動平均線の手前もしくは移動平均線にタッチして反発に転じた時、押し目買いのサイン(図13−1の買)となる。

買いサイン
右肩上がりで推移していた移動平均線が横ばいないしは右肩下がりに転じた状態において、日々線が移動平均線から大きくかけ離れて下落した時、行き過ぎた下落を修正しようと移動平均線に向かって上昇する可能性が高く、目先的な上昇を狙うカウンタートレンド(逆張り)の買いサイン(図13−1の買ぁ砲箸覆襦

売りサイン
移動平均線が右肩上がりを続けた後に横ばいとなっている状態において、日々線が移動平均線を下抜いた時、トレンド転換を示す売りサイン(図13−1の売 砲箸覆襦

売りサイン
移動平均線が右肩下がりで推移している状態において、日々線が移動平均線を上抜いた後に移動平均線を下抜く動きが見られた時、戻り売りのサイン(図13−1の売◆砲箸覆襦

売りサイン
移動平均線が右肩下がりで推移している状態において、日々線が移動平均線に向かって上げるも、移動平均線の手前もしくは移動平均線にタッチして反落に転じた時、戻り売りのサイン(図13−1の売)となる。

売りサイン
右肩下がりで推移していた移動平均線が横ばいないしは右肩上がりに転じた状態において、日々線が移動平均線から大きくかけ離れて上昇した時、行き過ぎた上昇を修正しようと移動平均線に向かって下落する可能性が高く、目先的な下落を狙うカウンタートレンド(逆張り)の売りサイン(図13−1の売ぁ砲箸覆襦

以上がグランビルの法則の概要です。相場というものは、上昇波動の初期段階では手仕舞い買いが中心となるため、踏み上げ一巡後に値を崩し、深押しする可能性が高いのです。上昇波動が中期段階に入ると、相場の人気化に伴い次第に押し目が小さくなっていきます。天井確認後の下落波動の初期段階では、一斉に手仕舞い売りが出てくるため、急激な下落となることが多いのです。天井確認後の下落が一段落すると、高値覚えの買いが入りやすく、下落波動の中期段階に入ると相場のムードは弱気一色となって戻りが次第に小さくなっていきます。グランビルの法則はこのような相場の特徴をうまく利用したものと言えます。

グランビルの法則では200日移動平均線を活用していますが、自分がトレードで活用する移動平均線でも同様の判断が可能です。ただし、慣れるまでは移動平均線の方向性に沿った順張りのサイン(売買サインの 銑)のみを採用するのが無難です。


クロス・オーバー法(ゴールデン・クロス、デッド・クロス)

グランビルの法則以外の売買判断方法として最もよく活用されているのが、「クロス・オーバー法」です。これは期間の異なる2本の移動平均線を使い、それらのクロスにより売買のタイミングを判断する方法です。サポートを割り込んだら「売り」、レジスタンスを超えてきたら「買い」というのが、売買判断の基本発想ですが、クロス・オーバー法では、期間の短い移動平均線が期間の長い移動平均線を下から上に突き抜けた場合(これを「ゴールデン・クロス」と言います)に買い、期間の短い移動平均線が期間の長い移動平均線を上から下に突き抜けた場合(これを「デッド・クロス」と言います)に売りとします。


【図13−2】 クロス・オーバー法
クロス・オーバー法

クロス・オーバー法を用いた売買判断で注意しなければならないことに、移動平均線の期間の取り方があります。上昇・下落のスピードが一定という理想的な20日周期の相場を例に期間の組み合わせについて考えてみましょう。

図14−2をご覧ください。反周期の10日移動平均線と主周期の20日移動平均線のゴールデン・クロスで買い、デッド・クロスで売った場合、天井で買い、底値で売ることを永遠に繰り返すことになります。4分の1周期の5日移動平均線と半周期の10日移動平均線ではプラスマイナスゼロ、日々線と4分の1周期の5日移動平均線では比較的良い成績をあげられます。

ゴールデン・クロスで買い、デッド・クロスで売りという一般的な解釈を度外視して一番良い成績をあげる方法を考えますと、半周期の10日移動平均線と主周期の20日移動平均線のゴールデン・クロスで売り、デッド・クロスで買うという方法となります。

ここで言いたいことは、ゴールデン・クロスで買い、デッド・クロスで売りという一般的な解釈が間違っているのではなく、移動平均線の期間の設定が非常に重要であるということです。期間が間違っている移動平均線のクロスで売買判断を行うことは意味がないばかりか危険ですらあるのです。

最近では、クロス・オーバー法を売買のタイミングではなく、トレンド判定に活用する投資家が増えています。短期移動平均線>中期移動平均線を上昇トレンド、短期移動平均線<中期移動平均線を下落トレンドと定義するというものです。



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第1回 テクニカル分析の意義
第2回 ローソク足の見方と判断法
第3回 酒田五法
第4回 トレンドの定義
第5回 サポートとレジスタンス
第6回 トレンドライン
第7回 チャネルラインと目標価格
第8回 天底転換パターン
第9回 天底転換パターン
第10回 中段保ち合いパターン
第11回 中段保ち合いパターン
第12回 移動平均線
第13回 移動平均線
第14回 ボリンジャーバンド
第15回 フィボナッチ
第16回 平均足
第17回 RSI(相対力指数)
第18回 テクニカル指標の変数

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