テクニカル分析入門
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テクニカル分析を分かりやすく説明します。

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テクニカル分析入門
テーマ:第14回 ボリンジャーバンド

移動平均線はトレンドの方向性を客観的に知る手段として有効な分析手法ですが、個人投資家の皆さんが期待する相場の動きを予測するものではありません。移動平均線はその計算方法から判るように、トレンドを追いかけるものであって、先取りするものではないのです。つまり、移動平均線だけを使っていても相場の天井や底を発見することはできないのです。

相場分析の基本は、.肇譽鵐匹諒向性を知ること、▲肇譽鵐錨彰垢硫椎柔を探ること─の2つです。前回解説しました「グランビルの法則」では、日々線と移動平均線との格差(乖離)が大きくなった場合に日々線が移動平均線に向かって反転する傾向を利用するカウンタートレード(逆張り)の戦略がありましたが、移動平均線からの乖離を利用して短期的なトレンド転換の可能性をいち早く探る手法として「ボリンジャーバンド」というものがあります。

ボリンジャーバンドは、John Bollingerによって開発されました。移動平均線と同じ期間の標準偏差を求め、これを移動平均線の上下にバンドとして加味した手法であり、相場のボラティリティー(価格変動率)に応じたバンド幅で推移するという特徴があります。


標準偏差とは

標準偏差とは、統計的な対象となるデータがその平均からどれだけ広い範囲に分布しているかを計算したものです。分かりやすく言うと、相場が移動平均線を中心にどれくらい散らばっているかを数値化したものです。

標準偏差には、対象データを母集団全体として計算する母標準偏差と、対象データを母集団の標本であるとして母集団に対する標準偏差を推定する標本標準偏差の2種類がありますが、ボリンジャーバンドで活用するのは母標準偏差の方です。

母標準偏差の具体的な計算方法は省略させていただきますが、パソコンで表計算ソフトを活用されている方は予め組み込まれている関数(Microsoft Excelの場合、STDEVP関数)を利用すれば簡単に計算できます。


ボリンジャーバンドの作り方

ボリンジャーバンドを作成する場合、まず中心線となる移動平均線を求めます。オリジナルのボリンジャーバンドでは、高値と安値の平均値や、高値と安値の終値の平均値(「ピボット・ポイント」と呼ばれます)の単純移動平均線を活用していましたが、『投資の王道』シリーズ(日経BP社)で有名な新井邦宏氏が日本でボリンジャーバンドを紹介した時、終値の単純移動平均線で計算する方法を紹介したことで、日本では終値の単純移動平均線を中心線としたボリンジャーバンドがメジャーとなっているようです。最近では加重移動平均線や指数平滑移動平均線を中心線として活用しているトレーダーもいるようです。一方、標準偏差は、移動平均線と同じデータに対して、移動平均線と同じ計算期間で求めます。

ボリンジャーバンドは、移動平均線に標準偏差を加減することで算出されます。オリジナルでは、標準偏差の±2倍のバンド幅を活用し、移動平均線とあわせて計3本のラインで描かれますが、前述しました新井バージョンでは、標準偏差の±1倍、標準偏差の±2倍、標準偏差の±3倍のバンド幅を活用し、計7本のラインで描かれます。日本で最も多いのは、標準偏差の±1倍、標準偏差の±2倍のバンド幅を活用し、計5本のラインで描かれるものです。


【表14−1】 ボリンジャーバンドの計算方法

ボリンジャーバンドの計算方法

ちなみに、移動平均線や標準偏差の計算期間については、開発者であるJohn Bollinger氏が指定する20日前後を使うのが一般的です。


【図14−2】 20日ボリンジャーバンド(新井バージョン)の例
20日ボリンジャーバンド(新井バージョン)の例
※チャート画像は、インベストメントテクノロジーズ株式会社のEdgeTrader(R) によるものです。
※当該画像の著作権は、同社に帰属します。

ボリンジャーバンドの統計学的解釈

統計学的な見地からボリンジャーバンドの意味するところを簡単にご説明いたします。

図14−3の正規分布図をご覧ください。平均値を中心に釣鐘状の線が描かれているのが確認できると思います。なお、図においては、平均値をm、標準偏差をσで表示してあります。


【図14−3】 正規分布図
正規分布図

正規分布全体の面積を100%とした時、
  平均値−3σ以下の面積は0.135%
  平均値−2σと平均値−3σの間の面積は2.145%
  平均値−1σと平均値−2σの間の面積は13.59%
  平均値と平均値−1σの間の面積は34.13%
  平均値と平均値+1σの間の面積は34.13%
  平均値+1σと平均値+2σの間の面積は13.59%
  平均値+2σと平均値+3σの間の面積は2.145%
  平均値+3σ以上の面積は0.135%
の関係があります。

つまり、平均値を中心として平均値以上のデータが50%、平均値以下のデータが50%存在していると考えます。これを別の見方で見ると、日々線が移動平均線上にあれば、その期間内において含み益となっている投資家が50%、含み損となっている投資家が50%いると考えるのです。すなわち、売り方と買い方の投資家の力関係は五分五分ということになるのです。相場が−1σバンドのところに位置していたとすると、買った投資家の84.13%が損をしており、買っている投資家の15.87%しか利益を出していないことになります。逆に言えば、売った投資家の84.13%が利益を出しています。利益を出しているのは、買い方投資家の15.87%にして売り方投資家が84.13%ですので、力関係は売り方が有利と判断することになります

また、平均値±1σの間に68.26%、平均値±2σの間に95.44%、平均値±3σの間に99.73%、それ以外の間に0.27%のデータが含まれていることになります。たとえば、計算期間を20日とした場合、(平均−2σ)〜(平均+2σ)の区間を外れる確率は4.56%、データ数的には、0.912日分ということになりますので、平均値±2σの区間外に出るようなデータは統計学的には外れ値、相場的には行き過ぎの値段であると考えることになります。

しかし、一方で相場の値段分布が正規分布に近い分布を描くのは横ばいにある時だというのは直感的にお判りいただけると思います。横ばい推移中の値段分布の95.44%が、−2σバンド〜+2σバンドの範囲内に収まることになり、相場の値段分布の95.44%が−2σバンド〜+2σバンドの範囲内に収まらないような相場は、もはや横ばいとは言えないことになります。この仮説が正しいとすれば、横ばい推移後に−2σバンド〜+2σバンドから飛び出す(−2σバンドを下抜く、あるいは+2σバンドを上抜く)ような相場では、飛び出した方向に新たなトレンドを開始した可能性が高いものと考えられます。

以上の解釈から、ボリンジャーバンドには値動きの範囲予想(逆張り的発想)とトレンド開始の合図(順張り的発想)という2通りの見方が存在することになります。

しかし、John Bollinger氏は彼の著書の中でボリンジャーバンドの使い方はカウンタートレード(逆張り)ではなく、トレンドフォロー(順張り)に用いるべきと主張しています。

カウンタートレードに向かない理由を考察するうえで、ご理解いただきたいのは、テクニカル指標が相場を制御しているのではなく、相場の動きがテクニカル指標を変動させているという事実です。ボリンジャーバンドで言えば、バンドの中を相場が動いているのではなく、相場を包み込むようにバンドが形成されているということです。具体的には、相場が+2σバンドを上抜いて行き過ぎを示した翌日、相場が前日とほぼ同水準に位置しても、+2σバンドが切り上がる影響で、相場は+2σバンドの範囲内に収まってしまうことがあります。相場が+2σバンドを上抜いたからと言って、相場が行き過ぎだと判断してカウンタートレードで売りを仕掛けるのは危険だということをご理解ください。


ボリンジャーバンドの見方

移動平均線と同様、各σバンドはサポートやレジスタンスとして機能する傾向がありますので、相場判断の目安として活用することができます。

トレンドの方向性は、中心線である移動平均線で定義します。移動平均線が右肩上がり=上昇トレンド、移動平均線が右肩下がり=下落トレンド、移動平均線が横這い=トレンドレスというのが基本となりますが、このままでは実践では使えませんので、右肩上がり、右肩下がり、横ばいを客観的に定義してください。移動平均線によるトレンドの方向性の定義の仕方は、本シリーズ「第13回 移動平均線◆廚鬚柑仮箸ださい。

上昇トレンドが順調に進展している場合、相場は+1σバンド〜+2σバンドの間で推移する傾向にあります(これを「バンドウォーク」と呼びます)。上昇トレンド進展中において、+2σバンドを上抜く動きが見られた場合、目先的に買われ過ぎと考えられますので、利食いのポイントと捉えるのも良いでしょう。

逆に+1σバンドを下抜いてくる場合、上昇トレンドの勢いが失われつつあると考え、トレンド継続となるのか、それともトレンド転換となるのか、トレンド判断の基本となる移動平均線を試す展開を想定することになります。相場が移動平均線を維持して再度+1σバンドを上抜いてくるようなら、上昇トレンド継続と判断することになります。相場が移動平均線を下抜いてくるようなら、トレンド転換の可能性が非常に高くなってきます。

上昇トレンドで進展していた相場が移動平均線を下抜いた後、通常、移動平均線近辺、時には+1σバンド近辺までの戻りを見せますが、この間に移動平均線の方向性が横ばい、あるいは右肩下がりに転じていたら、基本的に上昇はここまで。相場が移動平均線を再び下回ってきたら、下落トレンドに転換したと判断することになります。そして、下落トレンドが順調に進展し始めると、相場は−1σバンド〜−2σバンドの間で推移するようになります。

上昇トレンドで進展していた相場が反落し、移動平均線で下げ止まって反発に転じても、+2σバンドが右肩下がりで推移しているようだと、目先的な上値余地が限られることが多く、それまでのような勢いのある上昇が期待できないことが多々ありますのでご注意ください。


【図14−4】 20日ボリンジャーバンド(ユーロ/円 日足)
20日ボリンジャーバンド(ユーロ/円 日足)
※チャート画像は、インベストメントテクノロジーズ株式会社のEdgeTrader(R) によるものです。
※当該画像の著作権は、同社に帰属します。

マーケットというものは、保ち合いと放れで構成されますが、言い換えれば、トレンドの発生はレンジ収縮がきっかけとなって起こるということになります。相場が保ち合うというのは、横ばいで推移しているということになり、保ち合いは通常、ボラティリティー(価格変動率)の低下をもたらします。これをボリンジャーバンドで解釈すれば、標準偏差、いわゆるバンド幅の縮小となって現れてきます。横ばい推移の相場のバンド幅が縮小していくというのは、+2σバンドが右肩下がりとなる一方、−2σバンドが右肩上がりとなります。値動きが沈静化し、さらにレンジを狭めた後、値動きが急激に激しくなり、+2σバンドを上抜く、あるいは−2σバンドを下抜く動きを見せます。このような急激に値動きが激しくなった方向に就くというのがいわゆる「ブレイクアウト戦略」です。保ち合い放れにいるボラティリティの拡大=バンド幅の拡大で+2σバンドが右肩上がりとなる一方、−2σバンドが右肩下がりとなり、それまで縮小してきたバンドが大きく口を開いていくことになります。

保ち合い上放れにより+2σバンドが右肩上がり、−2σバンドが右肩下がりで推移していた相場が目先天井打ちとなると、+2σバンドは右肩上がりを継続する一方で、−2σバンドも右肩上がりに転じます。目先天井打ち後、バンドウォークの状態となれば、−2σバンドは再び右肩下がりとなりますが、移動平均線まで下落する、あるいは移動平均線を下抜いてくるような展開になると、−2σバンドが右肩上がりで推移する一方、+2σバンドが右肩下がりに転じてきます。このような状態になると、保ち合い上放れによる上昇トレンドは終焉したと判断することになります。



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第1回 テクニカル分析の意義
第2回 ローソク足の見方と判断法
第3回 酒田五法
第4回 トレンドの定義
第5回 サポートとレジスタンス
第6回 トレンドライン
第7回 チャネルラインと目標価格
第8回 天底転換パターン
第9回 天底転換パターン
第10回 中段保ち合いパターン
第11回 中段保ち合いパターン
第12回 移動平均線
第13回 移動平均線
第14回 ボリンジャーバンド
第15回 フィボナッチ
第16回 平均足
第17回 RSI(相対力指数)
第18回 テクニカル指標の変数

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