新井邦宏
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新井邦宏のテクニカル分析の本質 多くの投資家から熱烈な支持を受けている熱血講師、新井邦宏氏。
独自のテクニカル分析手法をコラムで解説します。
今では数多くのテクニカル指標が開発され、多くの分析手法が
紹介されていますが、それらを駆使する前にその「基本」を
マスターすることはとても重要なことです。「基本」を
きちんと身につければ、なにも複雑なテクニカル指標を使わずとも
テクニカル分析は可能です。
本コーナーでは、その「本質」を紹介していきます。
第1回 テクニカル分析とファンダメンタル分析

相場の分析手法にはファンダメンタル分析とテクニカル分析があります。それぞれ異なった視点から相場にアプロ一チしていますが、将来の相場動向をキャッチしようとする目的は同じです。

 ファンダメンタル分析は、相場の需給や様々な変動要因に焦点を当て相場の将来予測を行なって行く手法であるのに対し、テクニカル分析は、過去の価格推移グラフ(チャ一ト)や出来高、そのチャ一トの形状、数理統計的に算出された指数などを分析し、将来の方向性を予測し売買のタイミングをつかもうとする手法です。

 当たり前の話ですが、投資家の目的は、相場を理解することにあるのではなく収益をあげることにあります。ファンダメンタル分析は価格変動が「なぜ」起こったのかという理屈を知るには便利なのですが、「いつ」「どれだけ」「どのような過程」で動くのかという、収益をあげるために最も肝心な事柄のヒントは提供してくれません。この最も重要なヒントを得ようとする分析手法がテクニカル分析にほかなりません。市場で形成される「価格」は、市場参加者の心理を織り込んでおり、たとえ文明や技術が進歩しても人間の心理は不変であるために、価格変動に特定のパタ一ンが生じてくるのです。このパタ一ンやサイン、トレンドといったものを現在の価格に当てはめ、その将来を予測して行く手法がテクニカル分析です。

 もちろんテクニカル分析とて万能ではありません。これを絶対視することは危険です。ただし、使い方次第では大いに有効な方法であることは間違いありません。また、テクニカル分析に熟知したプロであっても常に相場に勝てるものではありません。相場が予測どおりに動かないときの対処法も予め考えておくことも必要なのです。投資におけるリスクをいかに抑えるかは、分析以前の重要な課題です。相場に勝つ方法だけでなく、負けたときのダメ一ジをどれだけ抑えておくのか考える必要があるのです。テクニカル分析はこの考え方も提供するものなのです。

 テクニカル分析を嫌う人でもチャ一トをまったく見ないという人は少ないでしょう。過去の値動きを把握するには、言葉で何度も説明されるよりも、1枚のグラフを見た方が早く、現在が時間軸でみてどのような位置かを知るにはチャ一トが一番有効であり、これを用いない手はありません。このチャ一トを基礎資料として、将来の予測に活用するのがテクニカル分析です。

 「相場のことは相場に聞け」と言われますが、酒田五法で知られる本間宗久は、「相場の高下を知るには、足取り表(チャートの意)が最も良い。というのも足取り表は刻々の出来事、人気など、すべてことごとくその内に入っている。理屈から行っても、明日の相場の基をなすのは今日の相場であり、そうであれば、今日までの相揚をもって熟考すれば、今日以後の相揚を判断することは、あえて難しいものではない」と述べたと言います。

 また、「ギャン理論」で有名なW.D.ギャンも、彼の著書の中でチャートについて次のように書いています。「今後の値段に影響する情報はすべてその値動きに織り込まれているのだから、必要なのは値段の記録だけである。今後の値段を決めるのにチャ一トは何の役にも立たない、それは単に過去の歴史を示すにすぎないと言う人が多い。その通りである。チャ一トは確かに過去の記録である。だが、将来は過去の繰り返しにすぎない。ビジネスマンは皆、先々の商品の買い付けを決めるときは過去の営業記録を調べる。過去の記録と比べて、はじめて判断が可能になる。人間の場合も、ある人の過去を調べてその過去が良ければ、その人の将来も良いだろうと判断する。チャ一トは単なる図であるが、言葉で伝えるよりも分かりやすく物事を示してくれる。同じ事を言葉で言うこともできるだろうが、チヤ一トで見た方が理解が早い。」

 本コーナーでは、テクニカル分析の基本となるチャ一トの読み方を解説していきます。近年では数多くのテクニカル指標が発表され、それらを勉強する個人投資家も多数います。その結果、テクニカル分析の「迷いの森」に入ってしまっている投資家も多く見受けられます。テクニカル分析には絶対に押さえておかなければいけない基本があります。言葉を換えれば、複雑なテクニカル指標を使わなくてもいくつかの基本をマスターしておけばマーケットから利益を上げることができます。

  チャ一トの読み方は、株式・商品・為替いずれの相場でも共通です。経験者であっても、そんなの知っていると思わずに、是非もう一度チャ一トの基本をおさらいしてみてください。

 


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