欧米プロトレーダー
欧米のプロトレーダーに学ぶ 欧米のプロトレーダーへのインタビュー集です。
彼らがトレードで成功を収めるまでの過程や
トレードに対する考え方などについて聞いています。
プロトレーダーの言葉にはトレードで勝つためのヒントが満載です。
第1回 カール・アンダーレン
〜市場と謙虚に向き合う姿勢が大事

マーケットの変化に対応し
自分に合った取引スタイルを見つけだす

 カール・アンダーレンは世界一周の旅をしたことがある。そして今度はトレーダーとして世界を巡っている。ビバリーヒルズにあった、今はなきドレクセル・バーナム・ランバート社のジャンク債デスクを振り出しに、現在は独立のCTAとしてストックホルムに住む。この間、ファンダメンタルズとテクニカル売買という二つの山を走破した。自ら興したノーザン・ライト・マネージメント社は3年目を迎える頃には、「ウォール・ストリートとヨーロッパ」「ディスクレッションとテクニカル」をうまくブレンドし機能するようになった。

 コンピューター業界で働く父の仕事の関係で、思春期は米国とスウェーデンを行き来し半々の暮らしだった。金融業界との関わりは、南カリフォルニア大学在学中の1988年にドレクセルでアシスタントの職を得たことに溯る。“ジャンク債の帝王マイケル・ミルケン”の没落でも名を知らしめることになった同社からは多くのことを学んだとアンダーレンは振り返る。

 「マイケル・ミルケンのことは彼の業績と合わせていまでも尊敬している。若い頃に当時の熱狂的な債券相場を内側から眺め、学ぶことができたという意味でドレクセルにはとても感謝している。あの経験がなかったら、いまの、相場を様々な角度から分析できる自分はなかったはずだ」

 大学でビジネスの学位を取得後、アンダーレンは世界一周の旅に出た。スウェーデン人の気質を受け継ぐ彼にとって、人生のチャンスはトレーディング以外にもあると考えてのこの行動は至極当たり前のことだった。フランスからカリブ海へ航海し、ジープで南米大陸を横断した。そして89年、冒険旅行を終えたアンダーレンはニューヨークで仕事を探したが、結局カンザス・シティー(ミズーリ州)でコンチネンタル・グレイン社専属の現物穀物トレーダーに落ち着いた。

 しかしわずか1年後、祖国の地を踏むことになる。

 「コンチネンタルを辞めたのが金曜日、次の週の火曜日にはストックホルムに立っていた。カネはなし、仕事はなし、泊まるところもなしの状態。1年前ニューヨークに着いたときと同じだった」

2週間後、当業者のヘッジ取引を専門に扱うルオヴォル・マッキラルナ社にトレーディング・マネージャーとして就職。そしてそのマッキラルナ社は、後に同じスウェーデンのブローカー会社サルヴィサム社に買収されることになる。

 マッキラルナ社でアンダーレンの取引手法は変わっていった。それまでのファンダメンタルズ一辺倒からテクニカル、とりわけラルフ・ビンスの考案した『オプチマル・マネジメント・システム』に惹かれていく。その理由をアンダーレンは説明する。

 「当時は湾岸戦争の真只中。投資資金はオイルマーケットに殺到していた。マーケットは狂乱状態。だから顧客と自分自身を最悪のシナリオから守るため、そしてマネーマネジメントの指針を得るためにオプチマルが必要だった。ファンダメンタルズと相場観だけのトレーダーから、テクニカル分析とコンピューター取引の信奉者になったということだ」

 そして95年、マッキラルナ社の同僚でトレーダーのパール・リンドフォッシ、サルヴィサム社オーナーのアンデッシュ・ルンキリストとノーザンライト社を設立、主としてベースメタルを対象としたプログラム売買による運用を始めた。その1年後、運用対象商品を拡大した。ファンドを始め、再びファンダメンタルズを重視するようになる。ファンド用に開発した新しいプログラムが従来ほど価格の歪みに反応しなくなったこと、またレバレッジ効果の向上を追及していくと一つ一つの平均取引期間が長くなり、これにはファンダメンタルズと相場観重視のスタイルがより適していると判断したためだ。

 「最近は以前のように相場観に頼る場面が増えている。確かに売買判断は依然として価格分析がベースにあるが、ファンダメンタルズが重要な要素であることは疑うべくもない。これまでのようにコンピューターだけを信頼するということはなくなった」

 いまはテクニカルとファンダメンタルズを融合したシステムで商品先物(メタル、エネルギー、穀物)だけを対象に、レバレッジ効果を無視し、しかも「買い」だけの運用スタイルを通している。リターンの目標はゴールドマン・サックス商品指数(GSCI)の数値を上回ることだ。一つの取引期間は2週間から6か月にわたる。

 このやり方が功を奏した。1996年5月から1997年5月の1年間でGSCIは3.43%の上昇をみせた一方、ノーザンライト・コモディティ・ファンドはこの間16%ものリターンを上げたのだ。そしてアンダーレンは結論づける。

 「最も重要なのは誇るべき売買システムを持つことではなく、市場に対して謙虚であり、常に精進するという姿勢だ。マーケットが常に変化しているのなら、自分自身がその変化に対応できるようになる必要がある。自分にあった取引スタイルを見つけることもその一つだと思う」

 

※本作品はフューチャーズ・ジャパン1997年4月号から2009年11月号まで連載された、「トレーダー・プロファイル」を再編集したものです。

カール・アンダーレン

 


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