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野川徹
[Profile]
野川徹の「トレード・コーチング」 プロディーラーを育成し、成功している投資家に師匠と呼ばれる野川徹氏が、勝てる投資家になるにはどうすればよいか、相場に対しどう考えどう行動するか等、トレーダーに必要な知識や考え方をわかりやすく書いています。ここでは単に目先の売り買いに対するアドバイスをすることを目的としていません。これらのコラムを読んで、最終的に自分で考え判断する能力を身に付けていただきます。
第1回 : 連載開始にあたって  〜自分の相場をみつけよう

私の行っていることに大きな矛盾があると感じる人もおられるでしょう。「なぜ儲かる方法を他人に公開するのか?」という疑問は、正直なところ私も他の相場関連の本の著者に対して持っているものです。しかし私は過去のセミナーにおいて、短絡的に儲けられる方法を教えているわけではありませんし、本稿においてもそれを公開するつもりはありません。私が公開するのは、相場に対する考え方と、相場を学習するための方法論です。なぜなら最終的に相場で儲けられるかどうかは、あなた自身の問題であり、私の問題ではないからです。

こういう突き放した言い方をすると、無責任に聞こえるかもしれませんが、真実はこの通りなのです。あなたが相場で儲けられるかどうかは、誰の問題でもなく、あくまでもあなた自身の問題でしかないのです。あなたが本気で取組む気も無く、ただ単に最後の答えだけを求めているとしたなら、私にはどうすることもできません。

私には医者の知り合いが大勢いますが、彼らは全員口を揃えてこう言います。「野川さん、医者は病気を治せないんですよ。病気を治すのは患者さん自身の力です。医者はただそれを手伝ってあげることしかできないんです」


相場は現代の戦争です。兵士の替わりにポジションを動かし、戦略を駆使してお金を奪い合います。相場は純粋に人の欲とエゴのぶつかりあいです。自分の勝利は、誰かの負けによってのみ成り立ちます。私が相場の世界で見てきたものは、損ばかりしている大勢の大衆投資家と、優位性を掴んで大きな利益を上げる一握りの人間、そして確実な手数料収入を得ているブローカーです。

もし全くリスクの無い安全な道を選択したいのなら、相場なんかに手を出すものではありません。あるいは趣味と実益を兼ねてなどと甘いことを考えているのであれば、それは大きな間違いです。趣味にはお金を遣うものであって、お金を稼ぐものではありません。本気で相場からお金を稼ぎたいなら、取るべきリスクをきちんと取り、果敢に攻め、そして上手に負けることです。

大衆投資家が損ばかりしているのは、上手に負けることを知らないからだと思います。古来から、戦上手は負け上手です。相場の世界において不敗神話など有り得ません。利益を上げ続けているように見える人にしても、実は小さな負けを何度となく繰り返しています。大切なのは最終的な損失と利益のバランスであり、目の前のたったひとつの小さな勝ち負けにこだわるべきではないのです。負け戦を上手に負けておけば、また次があります。いかに負け戦で兵力を温存しておくかが、大将の腕の見せ所です。そして勝ち戦になったときには、とことん勝てば良いのです。もし勝てる戦になったにも関わらず攻めないとしたら、それは単なる臆病者です。根拠のない勇気によって負け戦で無駄死にするのと同じくらい、臆病風に吹かれて勝ち戦を逃すことは、敗者への最短距離なのです。


投資家の行動は、群れをつくる動物の行動と似ています。群れをつくる動物は弱い動物で、常に食べられる立場にあります。しかしその弱い動物達が大きな流れを作り出します。そしてその群れの周りには、常にその弱者を食べようと狙っているライオンやチーターといった強い動物がウロウロしています。
相場の世界で勝者になるための第一歩は、食べられる運命にある弱者の「群れ」から抜け出すことです。群れの中に留まっている限り、食べる側ではなく永遠に食べられる側にあることになります。

ではどうすれば群れから抜け出せるのでしょうか。それは自分の相場を見つけ出すことです。目の前にある相場はひとつに見えて、実は人それぞれにとって様々な存在なのです。私には私の相場があるように、あなたにはあなただけの相場が存在しています。そのことに早く気付くことです。誰かに何かを頼っている間は、自分の相場は見えてはきません。どうせ最後は自分ひとりで決めなければならないのです。最初から最後まで自分で考え、悩み、苦労し、そして自分だけの相場を見つけようと努力してみることです。そういう努力をあきらめずに続けていると、これまで聞こえなかった相場の呼吸や足音がやがて聞こえるようになってきます。あなたの相場は、実はあなたのすぐ側に存在していて、あなたが見つけてくれるのを息をひそめて待っているのです。

自分の相場を見つけたとき、いつのまにか自分自身を外から見つめている、もうひとりの自分の存在に気付くでしょう。そうなったときに初めてあなたは勝者の仲間入りを果たせるのです。


本稿では、これから相場に真剣に取り組みたい方のために、どのように学習していけば、テクニカル分析手法に基づき、相場から利益を得る方法を最短距離で習得できるのかを解説していきます。これまで各種のテクニカル分析や、売買技術を勉強するための本は沢山出版されてきましたが、「どのように相場を学習すべきか」という、プロセスについて書かれた本は、残念ながら日本国内では見ることができませんでした。アマチュア投資家の方々がなかなか自立できないのは、技術がないからではなく、実は体系だった学習方法を知らないからだと私は考えています。

私自身が長い間資金運用の世界で生きてきた経験から、どうすれば相場の本質を理解し、最終的に自分自身で意思決定できるようになるかを、体系だって解説したつもりです。目的を学習法に置いていますので、各章に登場する個々の技術にのみ心を奪われないようにして頂きたいと思います。大切なのは考え方です。仮に今の環境で有効に機能する技術をマスターしたとしても、環境が変わってしまえば、その技術は使い物にならなくなってしまいます。しかしそうした技術を創り出す考え方をマスターした人は、環境が変わったとしても、新しい環境にマッチした技術を開発し、確実に生き延びていきます。大切なのは、技術の裏にあるこうした考え方なのです。

相場学習プロセスとして、私は以下の流れを大切にしています。本稿も基本的にこの流れに沿って構成されていますが、ここで紹介する売買技術は、テクニカル分析であり、トレンドフォローイングという手法ですので、それに基づいて環境認識以降の話が進められています。もしこれが同じテクニカル分析手法でも、トレンドフォローイングではなく、短期のデイトレードのようなものであれば、それに必要な環境認識や技術は、本稿で紹介するものとは異なるものになってきます。しかしどのような手法であれ、この学習プロセス自体は何ら変わることはありません。私は、この学習プロセスが、相場の本質を理解し、アマチュア投資家を脱してセミプロ投資家になるための、最短距離にあると確信しています。

  • リスク管理を行う
  • 優位な環境を認識する(本稿ではトレンド認識)
  • 売買技術を習得する(エントリー&エグジット)
  • 相場の構成を理解する
  • 売買戦略を構築する
  • 売買に至るまでのプロセスを理解する

これまで色々な本を読んできたけれど、なかなかうまくいかないという方、本気で相場を勉強したい方、相場で自立したい方、プロのトレーダーを目指している方、本稿を通じて、自らの可能性の扉を開いて下さい。


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